なんでコッチ見ねえんだ。










                俺は世間一般で言う、モテる人間だと思う。
                自分でいうのは何となく気が引けるかもしれないが、事実そうだ。
                生まれてこの方、女に不自由をしたことはねえ。

                小学校からモテてはいたが、高校に入ってそれは増した。
                毎日周りをうろつく女ども。
                いちいちキャピキャピしてて煩ぇし、perfumeくせえ。

                けど、まあ。別に不満はなかった。



                3年になって新しいクラスになったとき、俺は一人の女に出会った。
                nameは   、らしい。
                同じクラスにならねえと知ることはなかっただろうし
                ぶっちゃけ同じクラスになっても、これといった接点はなかった。



                が、ある日を境にして俺はアイツに構うようになった。















                「…伊達」




                俺を呼ぶあるvoiceに跳ね起きる。昨日は少し夜通しゲームしてたもんで眠かったんだが、
                アイツが俺を呼ぶとならばそんなこと関係ない。










                「Ah?なんのようだ、honey?」

                「…寝ぼけているのかな」










                顔を起こし、そう言えばつれない返事。
                このvoiceの主こそが…   、俺が興味を持った女。

                その顔は呆れているようにも、そうではないようにも取れる。

                顔は特別綺麗なわけでもなく、可愛いわけでもない。だからといって、醜いわけでもない。
                実は二重だったり、すっきりとした鼻、薄い紅の唇。
                肌は白い方で、顔立ちはわりとすっきりしている。化粧はしてねえ。
                そう長くも無く、いまどきの高校生にしては珍しい真っ直ぐな黒髪。
                ピアスや指輪などの飾りは一切無く、いっちゃあ地味。


                …だが、俺の目を引いて仕方ねえ。




                今の返事から分かるように、 は普通の女とは少し違う。
                いや、かなり…かもしんねえな。
                初めて会話を交わしたときもそうだった。











                あれは、5月くらいのことだったか。

                俺がいつもどおり授業をサボろうと屋上へ行った際に、先客が居たんだ。
                それが
                フェンスに寄り掛かり、ヘッドフォンで音楽を聴きながら寝ていた。
                なんとも無防備で、だけど近寄りがたい雰囲気だった。


                まあ、たいして気にはならなかったんだが…なんとなく、足が向いた。




                それとなく の横に腰を下ろし、観察する。

                すうすうと小さな規則正しい寝息を立て、肩を小さく上下に揺らす。
                綺麗な黒髪が、そよ風に揺れていた。
                それで、いつのまにか俺の手は… の頬に触れていた。

                正直、自分でも驚いた。


                また、それと同時にまた驚かされた。











                『…なんか用ですか』

                『っ?!……Good morning.』







                 が急に目を見開いて、声をかけてきたんだ。あれはビビった。

                で、俺が声をかければまだ眠そうな目。
                暇だったし、丁度いいかと思った俺はそこである行動に移った。


                頬に触れていた指を首に滑らせ、顔を寄せる。
                体を心持ち寄せ、口を の耳に寄せ、










                『…なあ、俺とイイこと、しねえか…?kity』







                とびっきり低い、甘い声で耳元で囁いてやった。
                大抵の女はこれで腰を砕かされて、落ちるわけなんだが。

                …こいつは、そうはいかなかった。








                『いや、いいんで離してくれませんかね』





                へら、とでも言うかのような笑顔だった。

                俺が呆けていると、あいつは「よっこらしょ、っと」なんか言って立ち上がるし。
                ヘッドフォンからは軽快なリズムと音が微かに聞こえる。
                すたすたと、どこか軽い足音が遠ざかる。




                『じゃ、お昼寝は程ほどにね伊達サン』




                帰り間際、俺の方を向いて薄く笑ったアイツには…不意をつかれた。
                それと同時に、いい匂いだったな、とか呑気なことを考える俺に驚いた。









                それから、俺はいつからか目で を追うようになっていた。
                授業中は勿論のこと、休憩時間、昼、放課後。
                暇があればその姿を探していた。

                俺ともあろう奴が…


                言うなれば、多分恋をしたんだ。










                「…責任とってくれよな、my honey?」

                「ハニーじゃないから無理な話かな」









                俺が突然に言えば、淡々と返してくれる
                このやり取りも慣れた。



                これが恋だと自覚してからは、即行動。

                 を見かけては近づき、アピールしてきた。
                口説く俺と、それをそれとなくかわす 。今じゃそれは、学校の定例。

                だが、俺の今までの経験と技をもってしても、 が落ちることはない。


                いつだって薄く笑って、くらりとかわす。



                俺はあれ以来、 と関わるようになって分かった事が幾つかできた。
                意外と世話焼きだったり、涙もろかったり、仕事は最後までこなすtipeだったり
                知れば知るほど、もっと知りたくなる。


                本当の が、知りたい。










                「Ah-...それで、俺に何か用があるんじゃなかったのかよ?」

                「ああ、すっかり忘れるとこだった。山村先生、呼んでたよ」








                ふと先ほどの続きを問いてみる。
                山村…古典の教師だったか。…俺に何の用なんだよ。

                俺がしかめっ面でもしていたのか、 は薄く笑う。

                ・・・ああ、俺こいつのこの笑顔、好きなんだよな。









                「なんか、色々と話したそうだったよ?色々、と」

                「Oh-...」









                含みのある言葉を吐きながら、薄く笑う

                …やるせねえ。心のうちで小さく舌打ちをする。



                俺は、 に興味を持つまで女遊びは激しかった方だ。
                無節操に、な。
                だが、 を知ってからめっきりだ。メアドは全削除。会いもしないようになった。
                俺はそれなりに、きちんと断ったつもりだったが
                今でもたまに、…こういうやつがいる。



                まあ、だが答えは決まっている。










                「行かねえよ。教えてくれてThanks、

                「ん?行かないんだ?」

                「ああ、…俺の本命はアンタだからな」







                そう言うと共に、 に詰め寄る。
                それでも全く動じず薄く笑う に、軽い苛立ちを覚えてしまう。

                周りがざわついているが気にしない。
                女どものうるせえ悲鳴が聞こえるが、気にも留めねえ。










                「...Look at me.」






                アンタの中の俺は、なんなんだ?俺はちゃんとアンタの眸に映ってるのか?




                いい加減、もう我慢できねえ。














 こ っ ち 見 ろ よ !
(俺の目みて、こっち向いて、笑顔みせて)






Photo by 「Sky Ruins」



















やってしまいました政宗夢^q^
英語が少ないとか気にしちゃ負けです!なんせ管理人の頭が残念だかry
政宗はなんだかんだで、構ってさんだと思う。というか、そうであってほしい((((

かなり短い文?になってしまいました・・・
お粗末さまでした!!!!(涙


'12.01.29